夏の亡骸にキスをして冬への道を歩きはじめた



失いつつあって...そしてそれが何かわからずに探していた。
向こうの岸に渡らずに、わたしはずっと立ちどまっていた。
そして渡らなかったことで救われた...
探していたものはこっちの岸にあって、気付くと足下に転がっていた。
それを大切に抱き上げる。
長かった旅の中で失いつつあったけど、でも実はすぐ側にあった。
私はそれをしっかりともって新しい旅にでようと思う。
こんどは見失わないように....






学生時代に田園調布の風呂なしのアパートに住んでいたことを若い子に話すとそんなどん底な時代があったんですねといわれた。
風呂がないだけで、どん底になってしまうとは....と少し愕然としてしまった。
でもそうかもしれない。今はお風呂があるのが当たり前なんだ。そう思うと あの頃は逆に幸せな時代だったんだと思う。そう..当たり前の幸せがあった時代だったんだ。

気がつくと列車にのっていた。
もう途中でこの先停まることはできないことにきづき始めていた。
途中下車できる列車はいくらでもあるのに、私は最初からこの列車を選んだ。
そして後に景色を残しながら列車はスピードを変えながら進んでいく。
わたしはおもむろに窓から空を覗いた。





力は足から入ってくるものだ。
だから大地をしっかりと踏み締めなければならない。
と画家のジョアン・ミロはいった。
だから宙に浮き上がっていたわたしはどうにか重りをつけて 着地した。そして今は重りを捨ててしっかりと大地を踏締めている。 たまに浮き上がりそうになる時もあるが、ポケットに石ころをいれてそれを防ぐ。


凍てついた空にクレヨンで虹をかきたい ......hanana 2000.11.30